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2007/06/16   陽気なギャングの日常と襲撃


陽気なギャングの日常と襲撃 陽気なギャングの日常と襲撃
伊坂 幸太郎 (2006/05)
祥伝社
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 「陽気なギャングが地球を回す」の続編。
 四つの短篇が大幅改変されて一本の長編小説になったもの。詳しくはあとがきを読もう。

 私は前作のが好きですが、今回も100%楽しめました。
 憂さを忘れてのんべんだらりんと読んでいられるので大好きです。

 もとは四つの短篇だったとみられる、第一章では、響野さんの話が一番好き。
 「地球を回す」でもいろいろな伏線が張られてて面白いなーと思ったのですが、今回も伏線がすごかった。最終章に向けて、第一章からどんどん話が絡んでいくさまが痛快です。
 もう響野&久遠のコンビが面白くて。ずっとかけあいやっててくれればいいのに…。毒があるのにさっぱりしていて最高です。

 相変わらず「面白い」しか書くことがありません。
 覚え書きとして、目次を書き出しておこうと思います。

第一章 悪党たちはそれぞれの日常を過ごし、時に、他人の世話を焼く
    『巨人に昇れば、巨人より遠くが見える』
    『ガラスの家に住む者は、石を投げてはいけない』
    『卵を割らなければ、オムレツを作ることはできない』
    『毛を刈った羊には、神も風をやわらげる』

第二章 悪党たちは前回の失敗を踏まえ対策を打つが、銀行を襲った後で面倒なことに気づく。
    「一度噛まれると、二度目は用心する」

第三章 悪党たちは仲間を救い出すため、相談し、行動する。
    「愚か者は、天使が恐れるところに突進する」

第四章 悪党たちは段取りどおりに敵地に乗り込むが、予想外の状況にあたふたとする。
    「最大の富はわずかの富に満足することである」


 思った通り、目次だけで充分面白かった。「地球を回す」の感想のときもやれば良かった…。

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2007/06/14   火を喰う者たち


火を喰う者たち 火を喰う者たち
デイヴィッド・アーモンド、David Almond 他 (2005/01/14)
河出書房新社
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 タイトルから、ドラゴンとか出てくるのかと思ったのですが、まったくのリアリズムでした。

 「ぼく」ロバート(ボビー)とマクナルティーとの出会いからはじまる物語。
 舞台はイギリスの寂れた田舎町キーリーベイ。
 時代は1960年代。
 キューバ危機を背景に奇跡への思いを描き出す。


 ロバートの愛称って「ボビー」なんですね。知らなかった。何故?
 奇跡をまったく信じていない私のような者には、何を書きたかったのかさっぱりわからない…というのが第一印象だったのですが、おお、後からじわじわきた。

 ひとりの少年の力では、何とかしたくても、どうにもならないことが存在します。
 例えば父親の病気。
 学校のありかた。
 また起こるかもしれない戦争。

 幸せであって欲しいだけなのに、それが叶わない、なす術がない無力感。
 そうしたときに、ボビーは祈ります。
 届かなくても、叶わなくても、祈らずにはいられない。
 そうした祈りが集まるとき。

 炎が天まで届くとき。

 それが「聞き届けられたもの」でなかったとしても、それに何の意味もなかったとしても…祈り、祈ることの美しさ清らかさが、漠然としているけれども、大きな輝き流れとして感じ取れました。

 奇跡そのものよりも、奇跡を願う純粋さがとてもきれいだなと思ったわけです。


 (メモ)作者アーモンドの他の著作は、「肩胛骨は翼のなごり」「ヘブンアイズ」「秘密の心臓」「闇の底のシルキー」等。

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2007/06/09   天国からはじまる物語


天国からはじまる物語 天国からはじまる物語
ガブリエル ゼヴィン (2005/10)
理論社
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「ひとは死んだらどこへ行くんだろう?」


 主人公はリズ。15才の少女です。
 若くして「天国」へ行かなければならなかった、リズのとまどいがなんか新鮮でした。「成長できない」ことがそんなに悔しいものかな…と思うのは、私がすでに成人しているからでしょう。
 でも、15才のとき、大人になることにそんなに希望を持っていたかな…?
 リズの前向きなエネルギーがなんだか眩しかったのでした。見習おう。


 「死」についてのお話なのに、不幸な印象がちっともないのは、「死」が「絶対的な終わり」として書かれてないからなんでしょう。

 この世界での「死」は死ではなく、「隔離」と同じに思えます。
 一定期間「隔離」されたら、また地上へと「開放」される。それが「天国」での生。
 再び生まれるまでの間は家族にも、恋人にも、地上に残してきた大事な人たちには会えない。でも憶えている。
 そして「隔離」が終われば、それまでの人生の何もかもを忘れ、新しく「生まれ」る。
 ならば、「天国」での「生」は本当の「死」であるといえるんじゃないかな。
 だから、オールダス・ゲントも悲しんだ、と。

 地上での「死」は、本当の「死」の準備のようなもので、「天国」は「本当の死」への覚悟をする準備期間。「天国」で最終的に受ける「生」が実際の人生の終わり、つまり「本当の死」だと…思った…んだけど…ややこしいな…。

 記憶=人生 だとするとこうなると思うのです。
 もっと叙情的なことを書きたいのですが、ちょっと考えがまとまらないのでまた今後ゆっくり考えます。


 昔、「ちいさなちいさな王様」という本を読んだのを思い出しました。ひとは、死んだらみんな王様になるんですね。

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2007/06/07   図書館内乱


図書館内乱 図書館内乱
有川 浩 (2006/09/11)
メディアワークス
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 「図書館戦争」の前にうっかり読んでしまいました。
 読み始めて「あ、しまった!」て思ったのですが、読むのを止めるのができませんでした。面白かった。


内容は、

一、 両親攪乱作戦
二、 恋の障害
三、 美女の微笑み
四、 兄と弟
五、 図書館の明日はどっちだ


 それぞれ短篇が繋がって長編になってる感じです。
 メディア良化委員会の図書の検閲とたたかう図書隊の面々が個性的で、ユニークで、飽きません。
 思いきった設定なのに、全体的に「固い」感じで、図書館内部でも「行政派」と「原則派」に分かれていたり、はたまた中立がいたり、強硬派がいたり…査問の様子なんかかなり地味で、それだけにリアルです。
 図書館をテーマにした作品なのに、なぜか近未来SFを読んでるような気分になりました。
 ところどころに含まれる息抜きコメディも楽しいです。

 柴崎かっこいい。情報戦のキーパーソンですね。
 でも…あれでにじうさんさい?なの?
 自分を振り返って「あれは例外だ」と郁のように呟いてみます。

 作者の怨念が怖いので「レインツリーの国」にも興味を持ちます。

 なにはともあれ、続き!続きが気になる!
 前作も気になります。早く読まねば!

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2007/06/04   七悪魔の旅


七悪魔の旅 七悪魔の旅
ムヒカ・ライネス (2005/07/26)
中央公論新社
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 174ページまで読んで、後はななめ読みしました。
 そして判ったこと。
 二章と十四章だけ読めばそれでいいんじゃないかな。
 簡単に感想を書くと、

「大魔王とゆかいな仲間たち」

 ちょっとどうかとは思うけど、端的だと思う。てか感想?
 以下七悪魔メモ。

ルシフェル…倨傲
マンモン…貪欲
レヴィヤタン…嫉妬
ベルゼブル…暴食
サタン…憤怒
アスモデウス…淫乱
ベルフェゴール…怠惰

 この悪魔たちが、地獄の大魔王の命を受け、時空を超えて人間を貶める旅に出るわけですが、その旅の様子が、何ていうか…遠足?
 手におえない悪ガキが徒党を組んで修学旅行に行ったよ、という感じです。おぞましいけど、恐くはない。ユーモラスだけど、笑えるほどじゃない。
 「悪魔」に対して一種の美々しさとか優雅とか期待してしまう私は、そう、日本人です。
 そして「デイモスの花嫁」に子どもの頃はまった女です。どんな子どもやねん。
 海外での悪魔ってこんなもんなのかなあ…。
 その種の期待は、サド侯爵とかにした方が早そうです。
 まだ読んだことはありませんが、そのうち読んでやる。

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2007/06/01   坂の上の雲


坂の上の雲 <新装版> 1 坂の上の雲 <新装版> 1
司馬 遼太郎 (2004/04/09)
文藝春秋
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「どのようにこの当時の日本やそのまわりの状態と状況を説明すべきか、筆者はあれこれとまよっている」p329より

 伊予は松山出身の三人、秋山好古、その弟秋山真之、正岡子規…を主人公に、明治という時代そして日清戦争を描く。


 「これ、読んでない人って日本中で私だけなんじゃないかな」と悩むほど超・有名な作品ですが、生まれて初めて読みました。
 小説だと思ってたんですが、読んでみて「これ小説なのかな」と思った。
 私としては、「フィクションの混じった歴史書」といった方がしっくりきます。
 もう詳しくて詳しくて詳しくて。
 あまりの詳しさに時々眠気が襲ってきたりしました。

 そこはかとなく明治の気風というやつが感じられているうちに、いつのまにかのめりこんでいます。
 私は戦争の、戦術だとか軍備だとか、何船に何砲があってどんな威力だとか、そんなことに全く興味がないので、そこはぐっとあくびを耐えねばなりませんでしたが…。主人公たちが関わってくるととたんにお目目パッチリです。

 明治の時代の立身出世街道というものがとても興味深かったです。身分の上下も金も関係なく、才覚だけで自分の将来が切り開けるという…。一個人が能力を磨けば日本のためになるという気風。ちょっと私には想像できません。
 日本の軍隊で、フランス風、ドイツ風、という流行みたようなものが移り変わる様がああ日本人なんだなあと感じてしまった。
 欧米列強の猿まねをしてまたたくうちに近代化をなしとげた日本を、他国がどう見ていたのか、など面白かった。

 この時代の人々が、どんなことを考え、どんな風に生きたか、が楽にイメージできます。

 正岡子規は知っていましたが、秋山兄弟の名前はこの本で初めて知りました。
 明治のことを知るにつけ、遡って西南戦争や、その後の戦争等についても知りたくなってくる…のはいつものことですが、読みきるのはいつになることやら。
 速読を身につけたいものです。

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